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あくがれの果ての安達ヶ原

 「鬼」付いている今日このごろ。図書館でたまたま掴んで借りた東雅夫編「鬼 ――文豪怪談ライバルズ!」が、最初のきっかけ。このアンソロジーの中では、今昔物語を翻案した福永武彦「鬼」が、人間の怖さを、田辺聖子「水に溶ける鬼」が、せつなさを感じさせてよかった。 シスコン古典だし。以下引用。

 幽霊になったらそれこそ、人の目につかず、どこへでもお兄さまとご一緒できるんですもの
 そうして、妹は、ほのかに歌をよんだ。
「消えはてて身こそは灰になり果てめ 
        夢の魂 君にあひ添え」

 夢枕獏編「鬼譚」の中では、坂口安吾「桜の花の満開の下」再読だったけど、最後の数行に息をのんで刮目した。あと筒井康隆「死にかた」は、フツーのオフィスに鬼が突然やってきたときの会社員/OLのリアクションを描写しているのだけれど、素晴らしく乾いたタッチに、失笑した。

  馬場あき子 「鬼の研究」は、斜め読みだけど、鬼とは「まつろわぬ者」であり「人間的なエネルギイの汪溢のために、世間から指弾され、追放された人びと」であることに、加害者(noxa)としての自分に引き寄せて、ヤバさとあこがれを感じるのだな、ということを再認識した。

あと、東雅夫編と夢枕獏編の両方に記載されていた手塚治虫「安達が原」 は、能や浄瑠璃の演目にもなっている安達ヶ原の鬼婆伝説(黒塚の伝説)を下敷きに、火の鳥の宇宙編みたいなSFになっていて名作。

 安達ヶ原(黒塚)は、他の著者も、多く題材にしている。自分も倣って、デタラメ和歌を作ったよ。

黒塚でHighになったり灰になったり
あくがれの果ての安達ヶ原







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