スキップしてメイン コンテンツに移動

あくがれの果ての安達ヶ原

 「鬼」付いている今日このごろ。図書館でたまたま掴んで借りた東雅夫編「鬼 ――文豪怪談ライバルズ!」が、最初のきっかけ。このアンソロジーの中では、今昔物語を翻案した福永武彦「鬼」が、人間の怖さを、田辺聖子「水に溶ける鬼」が、せつなさを感じさせてよかった。 シスコン古典だし。以下引用。

 幽霊になったらそれこそ、人の目につかず、どこへでもお兄さまとご一緒できるんですもの
 そうして、妹は、ほのかに歌をよんだ。
「消えはてて身こそは灰になり果てめ 
        夢の魂 君にあひ添え」

 夢枕獏編「鬼譚」の中では、坂口安吾「桜の花の満開の下」再読だったけど、最後の数行に息をのんで刮目した。あと筒井康隆「死にかた」は、フツーのオフィスに鬼が突然やってきたときの会社員/OLのリアクションを描写しているのだけれど、素晴らしく乾いたタッチに、失笑した。

  馬場あき子 「鬼の研究」は、斜め読みだけど、鬼とは「まつろわぬ者」であり「人間的なエネルギイの汪溢のために、世間から指弾され、追放された人びと」であることに、加害者(noxa)としての自分に引き寄せて、ヤバさとあこがれを感じるのだな、ということを再認識した。

あと、東雅夫編と夢枕獏編の両方に記載されていた手塚治虫「安達が原」 は、能や浄瑠璃の演目にもなっている安達ヶ原の鬼婆伝説(黒塚の伝説)を下敷きに、火の鳥の宇宙編みたいなSFになっていて名作。

 安達ヶ原(黒塚)は、他の著者も、多く題材にしている。自分も倣って、デタラメ和歌を作ったよ。

黒塚でHighになったり灰になったり
あくがれの果ての安達ヶ原







コメント

このブログの人気の投稿

PEOPLE FUNNY BOY

  PEOPLE FUNNY BOY  Lee “Scrach” Perry 1周忌で、何かBOX Setとか出るみたい。去年の訃報を聞いて、メルカリで中古で買った評伝「PEOPLE FUNNY BOY」が、読みかけになっていたので、夏場にまた読み進めつつ、出てきた曲やアルバムをYou Tubeのライブラリやプレイリストに保存して聴いてました。  もともと、Trip Hop / ブリストルやらON Uあたりから遡って聴いていたので、Dubやインストルメンタルを大量リリースしている変なおじさんくらいの認識が先行していたのですが、プロデューサーとして関わった作品の量と質が、とんでもないことがよく分かりました。(まだ読んでる途中ですが、、)  面白いのは、この曲(人)だったのか!?っていうのが、次々と出てくるところ。(dub /reggae を聴いている方からすると、今更なにいってるの?という感じかもですが、、)いくつか、例をあげさせてください。  Horace Andy、なーんかMassive Atackで歌ってる人(ラッパーだけど歌もうたうにいちゃんみたいな勝手な印象)に似ているなーと思ったらご本人。たぶん、キャリアの初めは20代前半で、40代ごろからMassive Atackに関わってるってことか、、とびっくりしました。   Zion Gate Massive Attack - Spying Glass 上記も元曲あった、、 Spying Glass   Chase The Devilのサビ、ProdigyのMusic for Jilted Generationについてきたシングルに入っていたOut of Space、サンプリングなことは分かっていたけど、おお、これだったのか!と。Lee Perryが、テンパリぎみに悪魔と対決しなくては、みたいなことを言っていたときに、Max Romeoが対決なんかしなくて、Out of spaceに飛ばしちゃえばいいんだよ、というやりとりの歌詞の由来も、おもしろい。 Chase The Devil/Max Romeo The Prodigy - Out Of Space (Official Video)  Police & Thieves、ジョー・ストラマーが、その後Complete Controlという...

無痛文明論/森岡正博 抜粋

そういえば「転轍」というタイトルは、「無痛文明論/森岡正博」きっかけで頭に残っていた言葉です。肝心な 「転轍」が出てくるところは、メモしてませんが、、気恥ずかしいほどにアツかったり、ちょっと抽象的だったりもしますが、核心を突かれている感があります。以下抜粋。 ーーー 第三章 無痛奔流 大人たちからの言葉の裏に隠されたメッセージは、こういうものだ。 「もうこれ以上、私の目隠しをあばかないでおくれ。私たちも自分の人生を生きることをあきらめたのだから、おまえも自分の人生を生きるのをあきらめてくれ。私たちも、人生の意味や、言っていることとしていることの矛盾について目隠しして、会社や家庭や社会に適応して生きることを選択したのだから、おまえもそうやって生きていってほしい。私たちは、おまえが、長いものに巻かれて、楽で安定した人生を送ることを望んでいるんだよ。それが人生だよと私たちもあきらめようとしているのだから、私たちのこのような自己納得を壊さないでくれ。 そしておまえも、はやく社会に適応して、私たちと同じような、欺瞞とあきらめに満ちた、そして楽で安定した、後ろめたい背徳をむさぼることだけが生きがいの、ダブルスタンダードの人生へと進んでいってほしい」。 P192 第四章 暗闇のなかでの自己解体  しかし、そのような他者と、私はどうすれば出会うことができるのだろうか。 そのためには、まず自分が、いまここから悔いのない人生を生き切るのだという覚悟をすることが必要だ。 そして、いまここから実際にそのように生きはじめ、自分を問いなおし、自分がほんとうはどういうふうに生きたかったのかという少年時代・青年時代の思いをふたたびよみがえらせ、自分の「中心軸」を再発見し、いまからでも遅くはないからその生をもう一度生きはじめてみようと決意することだ。 そのような生を一歩踏み出して、あなたの生き方の全体をもって、世界にメッセージを発信してゆくのだ。「自分自身の悔いのない人生をふたたび生きはじめた人間が、ここにいる。私は、自分を掘り下げ、自分自身と戦い、自分に与えられた生の可能性をいまここから開花させようと立ち上がったのだ。 無痛化する社会に流されて死につつ生きるのはもうやめようと、決意したのだ」。そういうメッセージを、あなたの生き方それ自体を通して、発信する。 あなたの全身を使って、あなたの動作のひと...

上野慶 / 転轍

上野慶  /  転轍    UENO Kei  / points 01 君はちょっと / You’re little… 02 瘡 / sore 03 Pin It 04 カー / K 05 ちか / underground   06 メランコリア / melancholia 07 Life Of LC 08 Ready To Fly 09 夢の中 / dream to dream 10 Electrical Sky 11 轢 / run over Produce & All Lylics & Compose & Photo 上野慶(UENO Kei): vocal, guitars, bass, electronics, samples, keyboards, percussions Co produce & Arrange & Engineer 石倉夏樹(Nacky Ishikura): piano, keyboards, percussions, guitar, bass, programing(track-all) Arrangement suggestion(track-all)   ルイス稲毛(Louis Inage): bass(track-04) Guests 高橋雄一(Yuichi Takahashi): drams(track-04,05,07,10) 南部輝久(Teruhisa Nanbu): djembe(track-02,03,05,07) 佐伯武昇(Takenori Saeki): percussions, trombone(track-02,03,04,05,07,09) 加藤順一(Junichi Kato): guitar(track-01,07,08) 本田ヨシ子(Yoshiko Honda): chorus, voice(track-02,04,11) Design itsuro1X2 6 Special Thanks 円香(Madoka), 加藤宇宙(Uchuu Kato), Live Bar Aja Recorded at OTOlab(Tokyo), Koyama(Tokyo) 01 君はちょっと / You're a little… 君は...